星新一はエッセイの中でちょくちょく、アイディアを捻りだす時の苦痛を書いてる。
部屋をうろうろ歩き回り、頭を掻きむしり、白い原稿用紙を見つめ、メモを書いては破り、何杯もコーヒーを飲み、ついに才能が枯渇したかと絶望し・・・とまあ、そんな感じ。
僕が詞を書く時も、ほぼそんな風にのたうち回ってる。
詞を書こうと思ったティーネイジャーの頃は、毎晩ひとつ書き上げることをノルマにして嬉々として書いたもんだけど、もうそんな風にはいかないからね。
ある水準を保たなきゃならないし、その詞は必ず、何かしらの「効果」を発揮しないといけない。とても「嬉々として」書けないのがなんとも。
「浮き雲」なんかは、ほんとに丸二日、どこにも行かず布団の上でのたうち回りながら書き上げた。あれが一番しんどかった。
その時間があったから書き上げられたし、それ相応のクオリティーはあると思う。
ま、「質」と「かけた時間」は必ずしも比例しないんだけどね。
違うな。やっぱり比例するな。
日々の経験や費やした人生には比例するな。
昔は、さして書きたいこともメッセージもないから、言葉遊びの延長として、嬉々として書けたんだな。
今は僕の中に、伝えたいメッセージや書き残したい想いがある。
それらが伝わるだけの言葉を、短いメロディーに乗せなきゃならない。
一言、一言が無駄にできない。
そんな風に自分を追いつめるから、簡単に詞が書けないんだ。
ま、とにかく今、のたうち回ってます。
軽快なロックンロールに仕上げたいのに、のたうち回ってる。
いかんなあ。
GIGを始めてから、年に1曲くらいしか新曲をかけなかった。
その前までは、ライブの度に5〜6曲作ってたのにね。
カンが鈍ってしまったんだな。
ライブのカンはだいぶとりもどしたから、今度は曲作りのカンを取り戻さなきゃならない。
そんなわけで、もうしばらくのたうち回ります。本を読んだり映画を見るのも、カンを取り戻すためだからね。遊んでるんじゃないぜ。
あ、今夜はGIGに顔を出すよ。
夜9時からは「ムーンライトブレイクSaturday」
今夜は1983年のオリコンチャートから。
石橋知美の罰ゲームも決まります。
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