最近のヘヴィーローテーション。
特に夜行バスで何か聴こうと思った時、このアルバムから始まって「歌姫」シリーズまで続くあたりで眠りに落ちるパターン。
夜中にパソコンで何かする時のBGMにもよく合う。
何がいいかと言うと、やっぱりあの例の囁くような歌声なわけで、ほんとに子守唄みたい。秀逸なアコースティックアレンジと絡み合って、懐かしさと切なさと苦しさと、そして優しさに沈んでいけるのです。
「歌姫」シリーズが話題になって、カヴァー曲やリメイクされたヒット曲の再録を聞いた時は、正直やっぱり「明菜、衰えたなあ。声、ガラガラで全然出てないやん」と思ったのね。
でもいくつか、新しい世界観というか、何かスッと素直に聴ける曲があって、ふとランダムで流れた時に聞き入ったりして。
あ、確かに中森明菜はもう、あの80年代の明菜ではなくなったけど、もしかしたら別の「明菜」に生まれ変わったのかな、と。
このアルバムでも、ベストアルバムということもあって「二人静」「月華」といった、いかにも全盛期の明菜らしい曲はあるけど、それよりももっと最近の曲や新録の曲が断然いい。
それはすなわち、明菜がまだまだ「現役」のシンガーである証。
さらには、ついつい気になる‘低いかすれ声’も、実は意図的にそういう歌い方をしていて、曲によっては済んだ高音で歌ったりもしてるのです。
特に聴けば聴くほど胸にしみいってくるのが、明菜最後のNo.1ヒットでありながらほとんどテレビなどで歌われていない
「水に挿した花」と新曲の
「あの夏の日」、そして90年代のアルバム曲だった
「陽炎」
どれも、どちらかと言えば観念的でわかりにくい歌詞なんだけど、情景がありありと浮かんでくる。具体的なことは何もわからないけど‘どんな想い’なのかは、ひしひしとわかる。気持ちが同化する感じ。
これがつまり‘ハートで歌う’というやつですな。だてに「歌姫」ではないのですよ。
※収録曲
1. 難破船(2007 Ver.) 2. セカンド・ラブ 3. あの夏の日 4. LIAR
5. 水に挿した花 6. 陽炎 7. 赤い花 8. SAND BEIGE~砂漠へ~
9. SOLITUDE(2007 Ver.) 10. 二人静 11. 月華 12. 予感
13. 初めて出逢った日のように 14. 駅 15. 帰省 ~Never Forget~(2007 Ver.)
中森明菜のシングルレビューは
こちら。