そんな日曜日だったわけですよ。週に一日くらいは頭を休めないと。
YouTubeで、全盛期の
荻野目洋子の映像を見る。「ダンシングヒーロー」から「六本木純情派」あたり。
実はデビューの「未来航海」の頃から彼女には心惹かれるものがあって(実はシングルレコードもずっと買ってる)、2年近く立ってからのブレイクには本当に小躍りして喜んだものだけど、その原因はやっぱり彼女の「目」なんですね。
まさに「まっすぐな瞳」。上からでも下からでも、驕るのでも媚びるのでもない、まっすぐに歌に向き合う瞳。あらためて当時の映像を見ても、凛としたカメラ目線。
デビューからブレイクを経て、引退するまでずっと、その眼差しの変わらなかったことがうれしい。
その佇まいが歌にリアリティーを与えていて、だから彼女の歌には‘ロックに通じるストリートっぽさ’があり、同世代の女の子のファンも多かったのだと思う。
ルックスでいえば、やはり「六本木純情派」の頃の髪型が一番かわいい。そうそう彼女はライブで、ストーンズの「Undercover Of The Night」を(アレンジはジャネット・ジャクソン風だったけど)取り上げていたのです。スタッフにも恵まれていたのですな。
その後は
The Street Slidersを聞きながらちょこっとした作業。
スライダーズは、2ndの「がんじがらめ」から名作「天使たち」までが特に好きで、とりわけ「
夢遊病」には特別の思い入れがある。浪人中、電車の中や下宿の部屋で何度も何度も聞いていた。「Time Is Everything To Me」とか「Let's Go Down The Street」とか、胸にしみる。
彼らのアルバムの中では地味な方で、でもそのどこか枯れた、乾いた空気感が、ダウナーな気分に合うのですな。僕の中では、ジョン・レノンの「心の壁、愛の橋」や、ストーンズの「It's Only Rock'n Roll」と同じ位置づけのアルバム。癒しの一枚。
しかしスライダーズは、「天使たち」とBOXセット以外廃盤状態。そんな頭の悪い、役に立たないレコード会社なんて、いっそ潰れてしまえばいい。
メシを食った後はDVDで
「悪魔の手鞠歌」を見る。もちろん市川崑版。
「犬神家の一族」と並ぶ傑作。映画的にも原作的にも。
家の古さにびっくり。当時の日本を再現しているんだろうけど、あんな日本家屋、もうどこにもないでしょうなあ。
誰もが語り尽くしているけど、市川崑の演出は凄い。有名なカット割りやカットの挿入はもちろんだけど、編集のリズムがね、絵だけでなく、台詞や音の重ね方がカッコいい。粋。
自分でも映像を編集する時に、そういったリズム感をもっとも重視するんだけど、それはきっと小さい頃に何度も見た市川崑の映画が無意識に影響してるんだと再認識。
あと、これも今さら、だけど、俳優陣の演技が素晴らしい。とりわけ若山富三郎と大滝秀治。それに、岸恵子の美しさはこの世のものとも思えない。
風呂に入りながら
エプロンおばさんを読む。
ご存知ですか。長谷川町子の作品ですね。サザエさんやいじわるばあさんのような四コママンガではなく、どの話も変則的な長さ。
昭和30年代の下宿屋を舞台にしたホームコメディー。
サザエさんもそうだけど、長谷川町子のマンガはこの頃の作品が一番いいと思う。
古き良き日本と日本人に会える。牧歌的で大らか。まさに落語的世界が現実にあった最後の時代なんでしょうな。
サザエさんも、1970年代以降になると世相を反映して品性がなくなっていきます。それは作者の作風が変わったのではなく、時代ごとそうなっていってしまったのですね。世相を反映する新聞連載だったから、それはもうしょうがないこと。続けて読んでると、サザエさんが‘オバさん化’していくのがはっきりわかります。
だからサザエさんも、3巻から10巻あたりまでがおススメ。
サザエさんもチャーミングだし、なによりワカメちゃんがかわいい。カツオくんより大活躍してます。