「ちりとてちん」見てますか。え?見てない? そりゃもったいない。
もしあなたが
「なぜ、あの人ばっかりいい思いをして、私はこんな目に遭うんだろう」とか
「なぜ誰も私のことを見てくれないんだろう」とか
「なぜあの人はみんなに愛されて、自分には何もないんだろう」とか
まあとにかくそんな風に、自己嫌悪と劣等感でヒガミ根性がしみついてしまっているなら、「ちりとてちん」の主人公にどっぷり感情移入できるはず。
そして、彼女の師匠である渡瀬恒彦の言葉に涙するでしょう。
当たり前だけど、人を愛せない人は誰からも愛してもらえない。
人を楽しませることをしない人が、人に笑顔は向けてもらえない。
誰かに認めてもらいたいとか、褒めてもらいたいとか、そりゃあ僕だって思うけど、それはやっぱり順序が逆だな。
まずは真っすぐに努力をすること。
何のために?
楽しんでもらうために。喜んでもらうために。感動してもらうために。
それが「エンターテイメント」だもの。
ましてその道を目指すのならなおさら。
なんでもそりゃあ「上手い」に越したことはないけどさ、上手いだけではね。
「上手くやろう」とか「褒めてもらおう」とかばっかり考えてるパフォーマンスでは、人の心は動かない。
例えば僕の知ってるある女の子は、技術があってもなくても、いついかなる時も全力で僕らを楽しませてくれる。歌を歌わせても踊らせてもボケさせてもカメラを向けても、全力で「空気」を読んで「心」を乗せてくる。そこに邪心はない。だから何をさせても楽しい。
その心構えが最初にあって、そこに技術と経験が加わったパフォーマンスが「プロ」なんだと思う。
今週の「ちりとてちん」。
その修行の第一歩が「雑用」なんですね。落語家とか漫才師とか、あと昔のミュージシャンの「ボーヤ」なんかも。
お茶汲み、窓ふきひとつ「心をこめて」できない人が、一流の芸人にはなれない、と。
ああ、スタジオ、まめに掃除しないと・・・。