久しぶりに何の予定もない日曜日。
こういう時はダラダラと過ごしたい。
昼まで寝て、メシ食って、「たかじんのそこまで言って委員会」を見て、古いビデオをあさって、'94年のNHKの「ローリング・ストーンズ来日記念特番」を見て、今年のF1最終戦のビデオをもう一回見て、「TRICK2劇場版」を見て、YouTubeをちょろちょろ見て・・・。
最後のシメがなぜか、森田童子。
あの澄んだ淋しげな声が、冬の静かな夜によく似合う。
そもそもなんで森田童子を聴くようになったんだろうね。全然リアルタイムじゃないのに。僕のひとまわり上くらいがリアルタイムどんぴしゃだと思う。
あの家に住んでた頃だから、高校2年くらいかな。確か、てっちゃんが貸してくれたんだな。そういえばキムラアツシも(その頃からみて)何年か前に鶴瓶のラジオで流れて印象に残ってたって言ってた。それなら、というんで聴いたんだ。
それが「夜想曲」というアルバム。
そもそも、てっちゃんが貸してくれるレコードは、いつも僕の心にザクッと入ってきた。感性が似てたんだな。「甲斐バンド」「ARB」「The Mods」「スターリン」そして「森田童子」、全部彼がきっかけ。
レコード屋に行くと「夜想曲」以外に5枚のアルバムがあって、なぜだか1枚ずつ買いそろえていった。
その頃でもすでに‘過去のフォークソング’という佇まいがあって、実際アルバムの帯には「伝説の名盤」と書かれてた。
たぶん1年くらいかけて全部揃えた頃くらいに、突然ニューアルバムが出てた。
それが「Wolf Boy〜狼少年」。びっくり。もちろんすぐに買った。開けたら歌詞カードが入ってなくて、お店に聞きにいったら、元から入ってないと聞かされさらにびっくり。代わりに、丸尾末広による、なんともインパクトのあるイラストが入ってて、それがまた、なんか良いんだ。
それが彼女のラストアルバム。なんか、ギリギリ伝説の最後に追いつけた感じがして、ちょっと誇らしい気持ちだったけど、もちろん同級生で森田童子を聞いてるやつなんかいない。
中島みゆきですら、随分ポップになって、出せばチャートの1位になって、普通の女子高校生が平気で聴けるサウンドになってた時代。
僕もやがて、「BOOWY」やら「The Street Sliders」を聴いて、バンドも始めてた頃だけど、それでも森田童子はよく聴いたなあ。
それから10年もたって、例のドラマ「高校教師」の主題歌に使われ、普通にラジオから流れてきたときは、心底びっくりした。オレ、アルバム全部持ってるぜって、無駄に自慢したりして。
初期の2枚は、それこそ70年代の青春の姿が綺麗に切り取られていて、その世代の人たちにとっては、痛いほどリアルなんだろうと思う。僕にもぎりぎり、その空気感の記憶がある。
後期に行くほど透明感が増して、ラストの2枚はまるではかない寓話のよう。だからこその普遍性がそこにはあって、きっと僕はそこに惹かれたんだろう。
今から思えば最初に聴いたのがその2枚のうちのひとつ、「夜想曲」で幸運だったな。
彼女の音楽をテクニカルに分析するのはナンセンスだけど、アルバムとして完成度が高く、初心者にもお勧めできるのは、「Wolf Boy〜狼少年」「夜想曲」「a boy」の3枚。音も良いです。
・・・つっても、今やオークションで1万円近く出さないと入手できないですけど。
時々自分の番組でも突然流したりするので、あてにせず楽しみにしててください。
あ、そうそう、誤解を解いておこう。
彼女の歌は‘暗い’と思われていて、実際明るくはないんだけど、例えば、中島みゆきや山崎ハコや、あるいはCoccoとは全然質が違う。重くも辛くも悲しくもならない。
癒されます。だから何度でも聴ける。ウソじゃないってば。