彼女のライブを初めて見たのはもう随分前で、その頃から歌は抜群にうまかった。
曲はブルースフレイヴァーたっぷりで、バンドも抜群に上手くて、何より‘美人’で。
そう、ブルースシンガーなのにめちゃくちゃ華奢で儚げで、だからパワーはないんだけど、それでも表現力で等身大の淋しさと苦悩と茶目っ気が伝わってくるんだな。
感想を聞かれたので、もちろん感動したことを伝えた後、何曲か持ったギターが格好だけだったので弾けないなら持たない方がいいと思ったことと、英語の発音が良くないことをいちおう伝えた。
しばらくたって、またライブを見た時は、ちゃんとギターが伴奏程度には弾けるようになってて、英語の発音もえらく上手くなっててびっくり。ちょうど彼女たちは初めてのCDも作ったところ、僕はインターネットラジオの「木屋町ゴールデンアワー」を始めたところで、ゲストに来てもらったり、臨時のパートナーになってもらったり。
彼女たちが2nd.アルバムを作った頃、僕もfm GIGを立ち上げた頃で、またまたゲストに来てもらったりイベントに出てもらったり。
2枚のアルバムとも完成度はかなり高くて、精力的にライブやイベントやコンテストなんかにも出てたんだけど、突然のバンド解散。
もしかしたらその頃から、彼女の歯車は少しずつ狂っていったのかもしれない。
しばらく音沙汰を聞かなくなったあと、新ユニットを始めたと聞いたのが3年前。
僕のライブにゲストに来てもらって、久しぶりに歌声を聞いてちょっと喋って。
ギターはうまくなってたけど、声の調子が悪そうで、もう若くはないんだから、煙草はやめた方がいいよといったら、素直に頷いてくれた。
ブルースシンガーそのまま、自分の書く歌詞そのままの飲んだくれで、でも努力家で、ストーンズと沢田研二が好きで、時々鬱になる心優しい孤独な美人、あいみちゃんが命を絶ったと聞いたのが昨日。
ばかだな。幸せだとブルースは歌えないけど、だからこそ生きて歌い続けなきゃいけないのに。でも、少しは楽になったのかな。
Blueな夜がやってくる 遊園地にはもう人もなくて
まわり続けるメリーゴーランドの上
ひとり泣いてる少女を見つけたよ
Don't cry anymore 泣かないで・・・
スローな歌が流れて人形たちも眠りにつく頃さ
早くお帰り ポップコーンをあげるよ
涙流すと切なくなるから
ピエロの衣装は少し重いけど
ママが来るまで一緒にいてあげるよ
Don't cry anymore 泣かないで・・・
「パレードのあとで」作詞:水戸愛美