「長いお別れ」も無事に(?)読了し、引き続き、同じくレイモンド・チャンドラーの
「さらば愛しき女よ」を手に取る。それが10日ほど前。
で、今夜読了。再読なんですけどね、全然覚えてなかった。
チャンドラーの中では「長いお別れ」に次ぐ人気を誇る作品だけど、最初読んだときは、なんつうか、それほどでもなかった印象が。
で、ある意味今回、どんな風に読後の印象が変わるかわくわくしながら読んだんだけど・・・。
結局ね、「長いお別れ」が凄すぎるのね。やっぱりあれが特殊。あれと比べちゃいけない。
「さらば・・・」は、非常にまっとうな、典型的な探偵小説。最後にちゃんと探偵による謎解きのシーンもある。ただ、肝心の事件そのものがなんか掴みどころがないので、マーロウが何を追いかけているのか見失いそうになる気が。その辺で、中盤の展開が若干辛く感じたのかも。
ただし、出てくる人物はすべからく魅力的です。助手役を買って出るアンという娘が可愛い。
クライマックスで登場するギャングの親玉や、マーロウを手助けする警官の、さりげない侠気もカッコイイ。
そして何より、この物語の中心となる悪女ヴェルマがね、素晴らしいというか凄い。
女優なら一度はやってみたいキャラクターじゃないかしらん。
ラストのフレーズもキマってます。
そしてこの物語の主人公である、大鹿マロイ。誰もが魅力的だと語るこの男。
正直、ハタチそこそこの頃は、それほど魅力的だとは思わなかったのね。
でも今なら、自分を愛さない女に惚れて、裏切られてもその女を想い、黙って銃弾を受けるこの愚かな男の気持ちが少しはわかる気がする。
ヴェルマというのが、それほどの女なのさね。
そんな女に出会った時、僕はマーロウのようにクールに振舞えるだろうか。
「長いお別れ」もそうだけど、これも、タイトルがいいよね、原題も邦題も。