人物の写真を撮るにはふたつの方法論があって、ひとつは‘自然体を写す’こと、いわゆるスナップ風。もうひとつは、スタジオなどで‘完全に演出する’方法。
カメラの魅力は何と言っても‘時間を切り取る’ことだから、自然体の一瞬をうまく撮影できたときはとてもいい気分。ただ、たいていの人はカメラを向けられていることに気づくと、どうしても動きや表情が不自然になるんですよね。子供にはまだそんな自我はないから、子供を追いかけるといい写真が撮れるのはそのため。
で、狙っていい写真を撮ろうと思うと、どうしても演出が必要になり、被写体さんの協力も必要になるわけです。
つまり、いい写真というのはカメラマンとモデルの共同作業の結果生まれるもので、それはちょうどアーティストとプロデューサー、もっといえばバンド活動と同じようものなのではないか、と。ツーと言えばカー、あうんの呼吸が生まれた時に、いいものが生まれる、と。
どんなにカラオケのうまい人でも、いざ生のステージで歌うとなるとたいてい魅力的でなくなるのと同じように、どんなに美人でも、ただカメラを向けるだけではなかなかいい写真は撮れないんですよね。逆に、そんなに歌がうまいと思わないのに、ステージに立つとやけに魅力的になる人もいる。ふだん美人だとも思わなかったのに、写真になるととてもかわいく感じる人もいる。
人前で歌うのはとても恥ずかしいことで、それを感じなかったり克服した人だけが、ステージに立てる。
写真を撮られるのも、なんか照れくさいことだけど、それを楽しめるようになると、とてもいい写真が残せるようになる。
特に女の子を魅力的に撮るというのはほんとに難しいことだけど、お互いの意思の疎通が生まれてこちらにも何か刺激を受けたときは、とても楽しいかな。
その子の個性はもちろん、普段は隠れているような新しい魅力を写すこと、僕はそこにアーティスティックな刺激を感じます。
モデル:石橋知美、小原かずよ、日野林純子、藤田七瀬