※いやあ、随分と更新が遅くなってしまいました。いろいろと自分の性格に起因するこだわりというか、そんなようなものがあってね。
◯6日目(7月29日)
アルベロベッロ4日目。
前夜、イタリアチームのパフォーマンスを見て“ある事”を思いついた僕は、朝起きてから稲岡さんにさっそく相談。
「退場する時に、イタリアチームが踊ってた民謡をやったらウケるんじゃない?」って。
抜け目ない僕は、これはってやつをiPhoneで録音してたので、それを聞きながら耳コピ。
この頃にはチームにも一体感で出てきてて、朝食を済ませた後は、仮想ライバル(?)のウズベキスタンチームに習い、プールサイドに集まって最後の練習を。僕のアイディアも、さっそく音合わせ。
演目の流れについては出発前から侃々諤々意見のぶつかり合いがあって、前日の段階でも決まりきらないところがあったのだけど、結局ステージの上のことは最終的にはステージに立つ人間が決めるべきだという自分の考えを押し通し、僕のストーリーで進めることに。もちろん責任は持つからさ。
そんなこんなで流れもバッチリと決まり、昼食をとったあとは、いよいよ決戦の準備。
各自衣装に着替えてフロントに集まると、ペルーやウズベキスタンチームもスタンバイして待機。一気に華やかに、お祭りムードが出てきたぜ。泣いても笑っても最終日、とにかくまずは記念写真だ。
僕が真っ先に一緒に写真を撮りたかったのが、ペルーチームの伊東四朗。ほんとは「にん」て言ってほしかった。
同じくペルーチームの、17才のサッカー少年。可愛いよねえ。
こちらは地元イタリア青年会(?)の若者たち。スタッフとしてほんとによく働いてくれてました。
ホテルの入口もワールドワイドな佇まい。出発前のひととき。
そして向かうは、アルベロベッロ最大の教会へ。日曜日ということで、各国の出演者全員でミサに出席するんだって。どきどき。残念だったのは、全員出席という連絡がちゃんと届かなくって、日本チームは半分しか来なかったのよね。
おそらく100人以上は入れるりっぱな教会で、祭壇もご覧の通り。
連絡がちゃんと来てないということは、段取りもよくわかっていないということで、牧師の(たぶん)ありがたい法話(?)が(もちろんイタリア語で)あった後、なんだかわからないけど各チームが順番にそれぞれの民族楽器の演奏を始めたのよ。席に着いたままで。
誰か司会が仕切ってるわけでもなく、なんとなく空気でペルーチームから演奏が始まり、ウズベキスタンの後は、席の並びからいって日本の番。なんかやらなきゃ。
とは言っても、楽器を持ってきてるのは伴さんだけ(それもたまたま!)。
僕らはこそこそと「どうしましょ」「そりゃ何かやらないと」「何を?」「そうですねえ、しれっとドラえもんを吹いたらどうですか?(もちろん僕の台詞)」などとやり取り。
けっこう僕は真面目に「ドラえもん」を押したんだけど、伴さんはあっさり無視して、尺八らしい厳かな曲を。
教会に尺八が響き渡るというのもレアだと思うんだけど、そこはそれ、伴さんのウデですから、ほんとに見事に宗教的な空気が流れました。
そしてロシアチームは何をするのかと思いきや、昨夜のステージでも歌ってたオペラ歌手が登場!歌うはもちろん「アヴェ・マリア」。
なんだ、やっぱり段取りは決まってたんやん。もちろん見事なパフォーマンスでした。
その後は通常のミサの流れ。へえ、こんななのね。映画で見たのと一緒。
最後に国ごとに記念撮影。ウズベキスタンは華麗!
ロシアチーム!白い!
日本チーム!全員じゃないのが残念!
教会前の大階段では、全チーム揃っての記念撮影。僕は見事によそ見してます。
そしてそのまま街をパレード。ロシアチームを引き連れてアルベロベッロの街を手を振りながら練り歩いたぜ。
この時点でお昼もずいぶん過ぎた頃。夕方にももう一度パレードがあるって話だったんだけど、けっこう気温が高くて歩くのは厳しいとかで、中止に。確かにすでにみんなちょっとバテた感じ。
各自休憩をとった後、夜7時から夕食で8時に会場入り、9時に開演・・・と聞いてたのだけど、ちょっと待て!サウンドチェックは? つか、僕らの出番とかもわからんぞ。パウロに聞いてもよくわからないって言うし。
どう考えてもその段取りはマズいよねと判断して、僕らミュージシャンチームは、遅くても7時には現場入りすることにして、さっそと夕飯を済ませて、歩いて会場へ。
ステージの準備はすでに万端整ってて、誰もリハをしてない感じだったので、スタッフを捉まえて「リハをしてもいい?」って聞いてみると、「おお!ジャパンチーム!君たちの出番は何番目?」って逆に聞かれて。知らないよー。
で、あれこれやりとりがあって、やはり僕らはトップということが判明。ま、そうだろうね。でも逆に好都合。リハをしてそのままステージセッティングを置いておけるぞ。
そんなわけで、かなりじっくりサウンドチェックをしてもらえることに。2日前に1回やってるのももの凄い安心感。僕の頭の中でのシミュレーションは完璧さ。
そしていよいよ開演!
例によってアコーディオンのおじさんがソロでオープニングアクトをやってる間、ステージ袖では続々と各国の出演者が勢揃い。あちらこちらで記念撮影大会。着物姿の僕も大人気さ。
昨日までは市長のニーノが司会をしてたけど、今日は別にもうひとり、いかにもタレントっぽい男性司会者が来てるぜ。
なんだかんだのセレモニーがあって、いよいよ各国の入場セレモニー。
だがしかし、この段取りもまったく聞かされていない!それこそステージに呼ばれる直前に、僕が日の丸を持って先頭に立つことに。いやまあ、それはいいけど、どこをどう歩けばいいの?
そうこうしてるうちに「君が代」が流れて、ジャポーネと呼ばれたぜ。
仕方ないので、「ステージをこう、ぐるっと回るので、ついて来て下さい」と言い残し、いざ、国旗を持ってステージへ!
で、ステージに上がってみたら、市長のニーノが身振りでコースを指示してくれて。なるほど、上手側に整列して、そのまま各国が並ぶのね。
最後にイタリアが登場してイタリア国歌が流れたとき、4000人の観客全員が立ち上がって合唱を始めたのね。ステージで聞いててちょっと鳥肌がたった。ああ、国家的イベントなんだって肌から実感した瞬間。
それでも基本、イタリア人は陽気でお茶目。セレモニーが終わると、市長自ら司会者と一緒にいろいろ突っ込んでくる。イタリア語はわからなくてもウケてるのはわかる。
お待たせしました。それではここまでの流れを映像でどうぞ。
VIDEO
この後にもなんやかやとエラい方々(?)の挨拶があって、その分僕らは余裕をもってセッティングができて、写真も撮り放題。
稲岡さんと中村さん。
スタンバイOK。一度浴衣の袂に入れたiPhoneをもう一度取り出してるところ。
稲岡さん目線。
iPhoneを取り出したのは、このショットを撮るため。軽く4000人超え。いざ、歌うぜ!
最終決定の演目はこんな流れ。
1.鹿之遠音〜恋する二人〜Non ho l'eta
2.河内おとこ節
3.炭坑節
5.荒城の月〜さくらさくら〜カナリア
6.ソーラン節
7.上を向いて歩こう
実は1曲目のメドレーに「Non ho l'eta」を入れるかどうかですったもんだがあって。
この日本でも有名なイタリア歌曲を入れましょうというのは円音さんのアイディアで、日本での最初のリハーサルからラインナップには入ってたんだけど、イタリア入りしてから「日本の演目にイタリア語の歌を入れるのはおかしいんじゃない?」との意見が出てきて、27日の演目からは外れたのね。
ところがその27日の演奏時、司会の市長が僕らを紹介する言葉の中に「Non ho l'eta」って入ってるのが聞き取れて、終わった後にパウロに文句言ってる様子を見て、「ああ、ニーノは僕らがNon ho l'etaを練習してるのをどっかで聞いて、お客さんにせっかく教えたのに、それを僕らがやらなかったので恥をかいたみたいになって怒ってるんだな」と、僕はそう想像したのよ。
この日にラインナップに復活させるのにも、時間的な理由とかで反対意見は出たのだけど、やらないで後悔するよりは絶対にやって後悔するべきというのが僕のポリシーなので、半ば強引に組み込んで。
結果、円音さんが「Non ho l'eta」を歌いだしたとたんもの凄い拍手。またまた鳥肌。これでもう空気はこっちのものだ。
すぐその後の、矢田さんのイタリア語の挨拶でも大きな拍手で、完全にホームの空気に。
そこでもうひとつ、僕がステージの上で決意したのは、「カナリア」を歌った後、「ソーラン節」にいく前に、客席をいっちょ煽ってやろうと。
そういったあれやこれやを含め、全体のパフォーマンスの様子を、この映像でどうぞご確認くださいな。
VIDEO
とにかく無事に演奏を終えた。さしたるハプニングもなく、ほぼ思い通り。この映像を見るまで、踊りの皆さんがどんなパフォーマンスをしてるからはよくわからなかったけど、要所要所で演出通りにウケてるのはよくわかった。
最後に、今朝急きょ決めたイタリア民謡の退場曲もウケて、言うことなし。
ステージを降りた舞台袖では女性陣が抱き合って涙を流し、イタリアのスタッフは僕に笑顔で親指を立ててくれて。
で、僕も汗だくで舞台袖にいると、イタリア人の親子が僕のところにやってきて。どうやら小さな息子さん(5才くらい)が、僕と写真を撮りたいって。
おお、そんなのお安い御用です。で、ギターを下ろそうとすると、その男の子が「ノー!ギターはそのまま!」って。
なるほどなるほど。ちょっとしたヒーロー気分。僕は小さな男の子にいつも人気なんだ。
ひと息ついた後は、再び舞台袖で観戦。
ロシアチームダンサーのウォーミングアップ。完全にバレエダンサー。
日本の販売ブースも大繁盛!
そんなこんなで、全ての演奏が終わったのは、やっぱり日付の変わった後。
打ち上げするには遅すぎるけど、部屋に戻るのもなんだし、ホテルの前にあるテラスのテーブルでミュージシャンチームプラス香山さんほか元気なおばさま方とひと息談笑。
イタリアの若者たちは元気にうろうろしてるので、女性陣が折り紙を教えて、手裏剣を作ってあげたら大はしゃぎ。小さな子供みたいに忍者ごっこして遊んでたよ。確か23〜5才だったはずなのに。可愛いねえ。
とにかくゆっくり余韻とともにアルベロベッロ最後の夜を堪能したのだ。ほんとに、いい1日だった。
続く!