◯4日目(7月27日)
アルベロベッロ2日目。妙に早起きの習慣になってて、やっぱり6時には目が覚める。いつもどおり朝食は、やはり昨日と変わらず、パンとチーズとハムとコーンフレーク。甘いパンは数種類あるけど、僕はいらない。
さて、いよいよ今日が本番なのでみんなも気合いが入ってて、しっかり衣装を着ての通し稽古に。予定どおり朝10時前にはロビーに集まるも、地下の練習室はウズベキスタンチームが使ってて、終わる気配がない。日本人はそういう時、遠慮深いので黙って待つような空気だったけど、いちおう「どうしましょうか?」と僕に聞かれたところで、おっとり刀で(?)様子を見に行くことに。
とにかくウズベキスタンチームはかなり本気。相当ハードな練習中。ちょっと気圧される雰囲気だったけど、言うことは言わなきゃならない。「もう僕らの時間なんだけど」とさりげなさげに英語で言ってみると、「オー、ソーリー」みたいな雰囲気でようやく明け渡してもらえることに。やはり、言わなきゃずっとやってる気だったな。
ロビーに戻ると、イタリアの若い子たちとすっかり撮影会の盛り上がり。やはりイタリア人は和服にもの凄く反応する。
稲岡さんが自分の衣装のハッピを17才のフランチャスコに着せてたので、それで僕と記念撮影。
まるで映画「ベストキッド」ですな。
女性陣は見事な着物か浴衣。うん、ジャポネーゼ。
そんなこんなでようやく衣装を着ての通し稽古スタート。
昨日まとまった20分ステージはちゃんと固まってたので、1回通しただけでそれは置いとき、今夜の30分ステージの流れを作るところから。
初めて合わせる曲もあるわけで、あれこれ意見を交換して、まあまあみんな納得の流れに。
3時間近くみっちり練習したところでランチ。しかしやはりどうもメニューがいろいろ物足りないなあと男性陣(+不思議ちゃん)で意見が一致し、いつものようにここでがっつり食べることはやめて、どっか外で食べましょうと密約(?)成立。
なので僕らは午後の自由時間、一緒に町へ出ることに。
道中、昨日僕が発見した廃墟を散策。ひとりだと中に入るのも馬鹿みたいで昨日は外から見ただけだったけど、仲間が入ると盛り上がりも違うので、さくさくと中まで侵入。
楽しいぜ。
さらに進み、ステージ予定地の広場にさしかかると、おお、舞台ができてる!
がっしりした足場に期待も膨らむ。
そのちょっと行ったところに、オープンカフェスタイルのレストランがあって、みんな美味しそうなものを食べてる。ここにしましょうと、昼ご飯後1時間も経たないうちに腹ごなしのパスタとワイン。
タイミングのいいことにここでパウロの奥さんである久美さんに遭遇したので(イタリア語が喋れる)、お薦めのメニューを注文してもらう。
シーフードを中心にパスタを6人で6皿。どれも抜群の美味しさだけど、僕はクリームのパスタをとっても気に入ったのよ。
あっという間に平らげたので、さらに2皿追加。大満足。
伴さん夫妻がプールに入りたいとのことで、僕らもホテルに戻り、僕と稲岡さんは初プール。イエイ、気持ちいいぜ。
イタリアの若者たちも泳いでて、気さくな稲岡さんは果敢にも彼らにレースを挑む!
稲岡さんことごとく敗北!イタリア人、泳ぎがうまい!
ここいらでサービスショットも。
しっかりのんびり遊んだところで、夕方4時前。僕ら演奏チームはサウンドチェックの時間。パウロの車に乗っけてもらって会場へ。
おお!もうセットまでできてるぜ。
音響スタッフは3人。イタリア人だけど英語が通じてテキパキ動いてる。これは思ってた以上に本格的だぞ。ちゃんとDIも用意してもらい、立ち位置も決まったところでサウンドチェックスタート。
モニターから何からとても音が良く素晴らしく、こちらの要望にもサクサク応えてくれる。パウロの勘違いでボーカルの女性陣が来なかったのが残念。なのでボーカルのチェックは僕だけが歌うことに。
それやこれやで問題なく終えて、楽器やら片付けていると、スタッフが僕のことを「マエストロ」って呼んでくれてさ。なんか嬉しい。うん。
舞台セットも完成。アート。素晴らしい。座席の数も相当にあるぜ。ほんとにこんなにお客さん来るのかな。
そして僕らは一旦ホテルに戻り、夕食へ。他のメンバーはもう食べ始めてて、サウンドチェックの感想を伝えると、みんなのテンションも上がった様子。
さ、衣装に着替えて本番に向かうぜ!
いちおう夜9時に開演ということで、8時半に会場に着く。もの凄い人。ステージの下手側が出演者控室。テントもあって、そこは女性陣が着替えに使い僕らは舞台裏にイスを並べて待機。
テントの中では、日本チーム女性陣が一角を日本側ということで楽器やらを置いて場所を取っていたらしんだけど、ちょっと離れてる隙にウズベキスタンチームが入ってきたら、あっという間に全部占領されて、楽器の上にまで衣装やらを置かれていたって。やはり油断ならないウズベキスタン。
ま、出番は僕らの方が先なので、みんなで舞台袖に待機。
9時ではまだ何も始まらず、9時半になってステージにはひとり、イスに座ったアコーディオンのおじさんが。そのまま30分、何食わぬ顔でひとりで弾き続ける。なんかカッコいい。
10時になったところで、イタリア人の小さな子供たちがぞろぞろ登場。衣装を着て立ってる僕をもの珍しそうに友達同士でコソコソ話してる。ほうら、サムライが来たぜ、バンビーノたち!
そしていよいよ開演!MCは市長さんが自ら。トップはそのイタリアの子供たち。袖で待ってる姿も、まるで人形みたいに可愛いよ。
イタリアの子供たちのパフォーマンスは、いわゆるフォークダンス。なんて愛らしい。
日本チームは袖でスタンバイ。豪華で綺麗なウズベキスタン女性にとっても、日本の和服は興味津々みたいよ。
僕の姿も、確かにインパクト抜群。この衣装を作ってくれた亜梨沙ちゃん、ありがとうね。
そしてついに出番!いざ、ステージへ!
演目はこんな流れ
1.鹿之遠音〜恋する二人
2.河内おとこ節
3.もしもしかめよ〜証城寺の狸囃子
4.炭坑節
5.荒城の月〜さくらさくら〜カナリア
6.ソーラン節
7.上を向いて歩こう
曲目だけ見てても、どんなステージかまったく想像できないでしょうなあ。まあもうしばらくすると、ステージの映像がYouTubeあたりで公開されると思うので、楽しみにお待ち下さい。
ちなみに僕は「カナリア」と「ソーラン節」でボーカルも担当。
選曲や曲順に関しては、ほんとに直前まで侃々諤々、様々な意見が飛び交ってなかなかまとまらなかったのだけど、最終的にはだいたい僕のイメージ通りに落ち着いて。
唯一、1曲目のメドレーでイタリアの有名なポップス「Non ho l'eta」を入れるようになってたのが、直前になって外れることになってね。これが後にちょっとした波乱とドラマになるのよ。
とにもかくにも、細かいミスはそれぞれにそりゃいっぱいあったけど、とりあえず大きな問題もなく無事パフォーマンス遂行。
舞台を降りてすぐ、女性陣リーダーの中村さんが「これでイメージがやっと掴めました!明後日はもっとしっかりやれます!」と笑顔で。いや、これに尽きるね。もう1回ステージができるって素晴らしい。
そして女性陣は片付けを終えて販売ブースの方へ。僕はそのまま舞台袖に残り、裏からイベントを観戦。もちろん客席から見ることもできるんだけど、「裏側」をずっと見てたかったのね。
ステージはウズベキスタンチーム。大所帯で、変わった楽器もいっぱい。
20人の選りすぐりの美女たちが華麗に群舞する様は圧巻。でもステージ裏でウォーミングアップしたりしながら出番を待つ姿は、万国共通。
そんな感じで、夜10時から始まったイベントが終わったのは、すっかり日付も変わる頃。でも、4000人近く集まった観客は最後までほとんど減ることなく、暖かい拍手をしてくれる。
通りも、そんな深夜の雰囲気はまったくなく普通にたくさんの人が歩いてて、時間感覚がおかしくなるよ。
ホテルの部屋に戻ったのは2時前くらい。さすがに疲れて、シャワーも浴びずちょっとだけ横になるつもりが・・・・
続く!