午前7時。看護婦さんに起こされる。今日の検査のために、経口腸管洗浄液を飲んで下さいとのこと。2リットルもの透明な液体を、2時間かけて飲め、と。いやあ、かなりの迫力。先にドロッとした少量の液体を飲む。何ともいえないドロッとした味。
さあて。くだんの洗浄液をコップで少しずつ飲み始める。味は薄いポカリスエットみたい。とても一気には飲めない。これは長い戦いになりそうだ。
8時15分。「どんど晴れ」を見る。もうちょっと気の利いた台詞を書けないものなのか。
9時20分。2リットル飲み終わる。効果はてきめん。何度もトイレに行くことに。いやあ、ほんとに大腸を洗浄してるって感じですよ。どんどん便の色が薄くなってくる。透明になるまで、どんどん水を飲んで下さいとのこと。
そんなこんなのうちに「野獣死すべし」読了。犯罪計画を告白する前半の日記形式と、事件発生後は三人称になる後半。以後さまざまな亜流を生み出したのもむべなるかなのスリル。しかも英国ミステリだからちゃんと本格推理なんですね。これも、ほとんどわすれていたから面白く読めた。
11時10分。入浴。さっぱり。
便はなかなか透明にならないけど、もうひと息とのこと(毎回看護婦さんがチェックします)。がんばって水を飲んで下さいって。うーむ。
正午。やっと看護婦さんのオーケーが出た。後は呼ばれるのを待つだけ。星新一「おみそれ社会」を手に取る。
午後1時30分過ぎ。ようやく呼ばれた。検査は少し離れたC棟の1階(僕の病室はB棟3階)。きょろきょろしながらたどり着く。明るく愛想のいい年配の看護婦さん(?)の指示に従い検査着に着替えしばらく待機。呼ばれ術室に入ると、説明を受けながら手術台に寝かされ、点滴、心電図用端子を付けられる。腸の中の様子を見ますかと聞かれ、せっかくなのでハイと答えると、横の小さなモニターにスイッチを入れてくれた。やがてお尻からファイバースコープが挿入。同時にモニターに自分の大腸のなかの様子がフルカラーで鮮明に映し出される。きれいやん。
お腹がゴロゴロいいだす。腸の中を曲がる時にエアーを入れり抜いたりするため、そのたびに胃が反応する。何と言うか、下痢と便秘を同時に我慢している感じ。けして快適ではない。
やがてカメラは大腸のドンつきまで行って引き返す。途中ふたつほど小さなポリープが見つかったとかで、摘出することに。姿勢を動かされたためモニターが見にくくなり、せっかくの摘出の瞬間がちゃんと見えなかった。ちらちらと見た感じでは、ファイバースコープから輪っか状のワイヤーが出てきてポリープをくくり切る感じ。でもこの間、姿勢が若干不自然なのと、たえず胃と腸がごにょごにょいうため、正直少し辛かった。
無事終った後先生が、「この大腸の検査と胃の検査が一番辛いので、これさえすめば後は楽勝ですよ」と笑顔でおっしゃる。うん、なんかぐったり。帰りは車椅子で運んでもらった。
明日の昼まで絶食だそうな。それを聞いてさらにぐったり。少し寝た。
午後3時。目覚めると点滴が終りそう。看護婦さんが来て、検温と血圧測定。明日は午前中に胃の検査、午後から肺のCT。それまで何も食べれないそうな。
そんなんで、まどかちゃんが持ってきてくれたDVD「ピンク・レディー/フリツケ完全マスター」を見る。なにゆえ病室でこれを見るのかは不明だが、せっかくなので。デビュー曲「ペッパー警部」から「ウォンテッド」までの振り付けの詳細が、これ1枚でオーケー。しかし、詳細を知れば知るほど高度なフリつけですなあ。特にワンポイントレッスンが面白い。ミーちゃん、かわいい。
絶食なので夕食はない。読売新聞を読む。少しウトウト。
午後5時。あっこさんのDVD「スターウォーズ2」を見る。実は初見。正直言うと、CGが多すぎると思う。もはやアニメというかゲームの画面みたい。ナタリーポートマンはかわいい。
午後7時。先生の回診と明日の検査の説明。一気に三つするとか。昼過ぎまで絶食は続く。
「スターウォーズ2」は2枚組で、DISC-2は特典映像。これがすごいヴォリューム。こいつは面白い。制作の裏側が事細かに見れる。やっぱりほとんどがコンピューターの前の作業なんですね。実写も、ほとんどスタジオのブルーバックでの撮影。ルーカスの、最新技術への挑戦と情熱はよくわかった。また、スタッフワークもすばらしい。
でも、見てて血湧き肉踊るのは、25年前の3部作だと思う。
ちなみに使われているのはMac。それもG4でOS 9。ちょうどPowerBookならチタニウムの頃ですな。
午後10時。眠くてたまらない。甲斐バンド『100万$ナイト』の「港からやって来た女」を聞きながら寝ることに。あっという間に眠りに落ちた。