例のよって湯船で読了。
言わずと知れた、仁木悦子「猫は知っていた」です。
え、知りませんか?
日本推理小説史に燦然と名を残す古典で、小さい頃、あちらこちらの「推理クイズ」や「名探偵登場」など子供向け推理クイズ本の名作紹介に必ず見つけるタイトルでした。
ま、詳しくは
ここをお読み下さい。
ともかく、古典ミステリー名作読破を目標としてた幼き僕は、なんとかこいつも読みたかったのだけど、どうにも手に入らなかったのですね。小学生だった僕が通ってたのは近所の商店街の小さな本屋で、品揃えなど望むべくもなかったから(小遣いも乏しかったし)、読書はもっぱら図書館通い。ところが図書館でも見つけられなかった。
で、十数年前に紀伊国屋書店の文庫コーナーでばったり見つけてすぐ購入。
ところがその頃はアメリカのハードボイルドにハマってたから、今イチ気分が乗らず手に取らないまま今に至る。やっとこの前その気になって読んだ次第。
で、感想。
面白い。さすが‘日本のクリスティー’と評されるだけあって、なんだろ、日本的ではない面白さです。とても40年前の作品とは思えない。事件もかなり凄惨なんだけど、ドロドロした動機などに重きを置かず、純粋に論理に主眼を置いているのが、イギリスっぽいのかな。ユーモア感覚もあるし。メイントリックも上記の推理クイズなどで紹介されてたはずだけど、気づかなかった。
兄妹探偵も魅力的だし、シリーズ化されてるからもっと人気を博していてもいいはずだけど、ミステリーファンでも、江戸川乱歩や横溝正史、松本清張に比べたら、ネームバリューの割には読んだことのある人の数は不当なくらい低いと思う。もしこの才能が、島田荘司以降の新本格ブーム以降に現われていたら、大人気作家になっていたはず。
それくらい、読みやすくて面白いです。